こんにちは!VR開発ギルドのマスター見習いの クリエッタです。
VR開発の冒険を始めたばかりのあなた。「Unreal Engine(アンリアルエンジン)」を開いて、キャラクターの設定をいじっていて、ふと手が止まる瞬間がありませんか?
「Use Controller Rotation Yaw」
…なにこの呪文?
「とりあえずチェックを入れとけば動くでしょ!」って思いがちですが、実はその**「とりあえずON」**が、あなたのVR体験を悪夢に変えているかもしれないんです。
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キャラクターが勝手に回転する
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視点(頭)と体(キャラクター)がズレて気持ち悪い
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そして、最悪の敵…「VR酔い」
「設定の意味なんて、調べればわかるよ」 「専門用語を理解すればいいんでしょ?」
そう思うかもしれません。ですが、**それが出来ればそもそも悩んでないんだよね…**って思いませんか?
この記事は、そんな「専門用語アレルギー」のあなたのための「翻訳書」です。 この記事を読み終える頃には、あなたは「Yaw」の呪文を完全に理解し、VR酔いを引き起こさない快適なキャラクター設定を、自信を持って行えるようになっています。
結論:「Use Controller Rotation Yaw」は視点と体を連動させるか決めるスイッチ
いきなり結論からいきましょう。
「Use Controller Rotation Yaw」とは、 「プレイヤーの視点操作(コントローラーやマウス)による『左右の回転』を、キャラクター本体(Pawn)にも適用しますか?」 という意味のスイッチです。
「…まだよくわからない」 大丈夫です。まずは、この「Yaw(ヨー)」という言葉から解き明かしていきましょう。
まずは「Yaw・Pitch・Roll」の3兄弟を知ろう
ゲーム開発、特に3D空間では、回転を表すためにこの3つの言葉が必ず出てきます。難しく考えず、「首の動き」で覚えてしまいましょう。
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Yaw (ヨー):左右の回転
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首を左右に振る「いやいや」の動き。
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Pitch (ピッチ):上下の回転
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首を上下に振る「うんうん」の動き。
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Roll (ロール):傾きの回転
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首を横にかしげる「あれ?」の動き。
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今回の設定「Use Controller Rotation Yaw」は、この3兄弟のうち、**「Yaw(左右の回転)」**にだけ関係する設定だ、ということが分かりましたね。
なぜVR開発では「OFF」が鉄則なのか?
ここからが最重要クエストです。 通常のPCゲーム(TPSなど)では、この設定は「ON」にすることが多いです。 ですが、**VR開発(VRPawn)では、原則として「OFF」**にします。
なぜでしょうか? それは、VRならではの「特別な操作方法」が関係しています。
デメリット:ONにすると「意図しない回転」でVR酔い発生
通常のゲームでは、視点を左右に動かすのは「マウス」や「コントローラーの右スティック」ですよね。
ですが、VRではどうでしょう? プレイヤーは**「自分自身の頭(ヘッドセット)」**を物理的に動かして、視点を操作します。
もし、ここで「Use Controller Rotation Yaw」をONにしてしまうと…
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プレイヤーが右スティックを倒す(コントローラー操作) → スイッチがONなので、キャラクター本体が回転しようとします。
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プレイヤーが自分の頭を左右に振る(ヘッドセット操作) → VRカメラが当然、視点を回転させます。
この**「二重の回転操作」**が、最悪の事態を引き起こします。
プレイヤーはただ頭を少し動かしただけなのに、スティック操作の回転も加わって、キャラクターが「グルン!」と意図しない速さで回転してしまうのです。 この「視覚と三半規管のズレ」こそが、VR酔いの最大の原因です。
メリット:OFFで「視点と体の分離」を実現
では、「Use Controller Rotation Yaw」をOFFにするとどうなるでしょう。
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プレイヤーが右スティックを倒しても、キャラクター本体は回転しません。(スイッチがOFFだから)
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プレイヤーが自分の頭を左右に振ると、視点(カメラ)だけが回転します。
「あれ?それだと体はずっと正面を向いたままじゃない?」 その通りです。だから、VRゲームでは「体を回転させる操作」を別で作ってあげる必要があります。
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スナップターン:右スティックを左右に倒したら、体をカクンと45度回転させる
「Use Controller Rotation Yaw」をOFFにすることは、「頭(視点)の動き」と「体(キャラクター)の動き」をあえて分離させるために必要な、重要な設定なのです。 これにより、開発者はプレイヤーが酔わないように、体の回転方法を意図的にコントロールできるようになります。
(比較)通常のゲームではどう使うの?
VRではOFFが基本だと分かりましたが、せっかくなので通常のPCゲームでの使われ方も見てみましょう。この違いを知ることで、あなたの理解はさらに深まります。
3人称視点ゲーム(TPS)の場合
フォートナイトや原神のような、キャラクターの背中を追いかけるゲームを想像してください。
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設定:Use Controller Rotation Yaw = ON
この場合、プレイヤーがマウス(視点)を左右に動かすと、キャラクターもその方向を向きますよね。視点と体が常に連動しています。もしこれがOFFだったら、視点だけ動いてキャラクターはずっと正面を向いたまま…という、とても操作しにくいゲームになってしまいます。
1人称視点ゲーム(FPS)の場合
これは少し複雑ですが、
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カメラ(視点):Use Controller Rotation Yaw = OFF
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プレイヤーはマウスで360度自由に見回せます。
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キャラクター本体:Use Controller Rotation Yaw = ON
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プレイヤーがマウスを左右に動かすと、視点(カメラ)だけでなく、キャラクター本体もその方向を向きます。
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このように、何を回転させたいのかによって、このスイッチを使い分けるのが基本です。
まとめ
今回のクエスト「Use Controller Rotation Yawの討伐」、お疲れ様でした! 最後に、冒険の書に記すべきポイントをまとめます。
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Use Controller Rotation Yaw は、「視点操作による左右回転(Yaw)」を「キャラクター本体」に連動させるかのスイッチ。
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「Yaw」は「いやいや」の左右回転。「Pitch」は上下、「Roll」は傾き。
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VR開発(VRPawn)では、ヘッドセットの動きとコントローラーの動きが**二重に操作(競合)するのを防ぐため、この設定は「OFF」**にするのが鉄則。
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「OFF」にすることで**「視点(頭)」と「体」の動きを分離**でき、VR酔いを防ぐための専用の回転方法(スナップターンなど)を実装できる。
今回は「Yaw」という一つの設定に注目しましたが、VR開発にはこうした「知っているか、知らないか」で体験が大きく変わる設定がたくさんあります。
