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【UE5 VR開発 #04】最初の選択:UE5新プロジェクト作成でVRテンプレートを選ぶ方法

最初の選択:UE5新プロジェクト作成でVRテンプレートを選ぶ方法

「よし、UE5でVR開発を始めるぞ!」 そう意気込んでUnreal Engine 5を立ち上げ、新プロジェクトを作成しようとした時、あなたの手は止まっていませんか?

「Blank」「First Person」「Third Person」…魅力的なテンプレートが並ぶ中、「VR開発をしたいけど、どれを選べばいいんだろう?」

もちろん、最終的にすごいVRゲームを作るには、色々な機能を学ぶ必要があるのはわかってる。 でも、「とりあえずVRゴーグルで自分で作った世界に入ってみたい」「First Person(一人称視点)って書いてあるし、これでいいんじゃないの?」…そう考えてしまいますよね。

正直、それができれば苦労しないんだよね…という感じで、もしあなたがその「First Person」テンプレートに手を伸ばそうとしているなら、待ってください! それはVR開発において、**スタート直後に挫折につながる「罠」**かもしれません。

「VRテンプレート」一択である

この記事では、知識ゼロの私自身が最初に躓いたこの問題を解決します。 なぜ他のテンプレートではダメなのか、そしてUE5でVR開発を始めるなら「VRテンプレート」一択である理由を、VR開発特有の事情と合わせて徹底的に解説します。

この記事を読めば、あなたは無駄な遠回りをせず、最短距離で「自分で作ったVR空間に立つ」という最初の感動を味わうことができます。

 

なぜ「Blank」や「First Person」ではダメなのか?

結論から言えば、これら2つのテンプレートは「VR開発用」に作られていないため、初心者が選ぶと膨大な時間と労力をムダにしてしまうからです。

一見すると、「Blank」でゼロから好きなものを作るのが本格的だとか、「First Person」はVRと同じ一人称視点だから流用できそう、と思うかもしれません。しかし、それらの選択はVR開発において大きな回り道、あるいは最初の挫折に繋がります。

 

デメリット①:Blank (ブランク) テンプレートの罠

 

「Blank」は、その名の通りほぼ空っぽのプロジェクトです。 VR開発には、PCやゲーム機開発とは全く異なる特有の設定が山ほど必要になります。

  • VRヘッドセット(HMD)の認識とトラッキング設定

    • (あなたの頭の動きをゲームに反映させる設定)

  • 両手のモーションコントローラーの認識とトラッキング

    • (あなたの手の動きをゲームに反映させる設定)

  • 頭の動きとゲーム内カメラの連動

  • VR酔いを防ぐためのフレームレート(90fps以上)を維持するためのレンダリング設定

これらをすべてゼロから手動で設定するのは、UE5に熟練した開発者であっても非常に手間がかかります。 これは、料理初心者が「とりあえず畑を耕すところから始めよう」とするようなもので、肝心の「料理(VR開発)」にたどり着くまでが遠すぎるのです。

 

デメリット②:First Person (ファーストパーソン) テンプレートの罠

 

「First Person」テンプレートは、最も勘違いしやすい選択肢です。これが一番危険な「罠」です。 確かに一人称視点ですが、これは**「PC(マウス/キーボード)やコンソール(ゲームパッド)で遊ぶFPSゲーム」**を前提に作られています。

VRとの決定的な違いは以下の点です。

  • 視点移動: HMD(頭)の動きではなく、マウスやスティック操作で視点(首)が動きます

  • プレイヤー: 手は存在せず、銃がカメラに固定されています。VRのような「自由に動かせる両手」はありません。

  • 移動: キーボードのWASDキーやスティックでの「平行移動」が基本です。

この「スティックでの視点移動」と「平行移動」をVRで体験するとどうなるか? あなたの目(VR映像)は「動いている」のに、あなたの体(三半規管)は「動いていない」という情報が脳に送られます。このズレが、一瞬で激しいVR酔いを引き起こします。

このテンプレートをVR用に「改造」する(酔わないように移動方法を作り替え、両手を追加し、頭の動きを正しく反映させる)労力は、VRテンプレートを一から学ぶ労力より何倍も大きいのです。

 

「VRテンプレート」が必須である最大の理由

では、なぜ「VRテンプレート」を選ぶべきなのでしょうか? それは、このテンプレートが単なる「ひな形」ではなく、**「VR開発に必要な最低限の機能と設定がすべて詰まったスターターキット」**だからです。

この「ギルドの初期装備セット」とも言えるテンプレートを選ぶだけで、先ほどのデメリットをすべて解決した、以下の機能が最初からあなたのプロジェクトに実装されます。

 

メリット①:VRプレイヤー(VRPawn)の標準装備

 

プロジェクトを開始した瞬間から、あなたはVR空間に「存在」できます。

  • HMDトラッキング: あなたの頭の動き(見回す、しゃがむ、覗き込む)が、そのままゲーム内の視点に反映されます。

  • モーションコントローラー: あなたの両手の位置と傾きが、ゲーム内の「手」として表示され、自由に動かせます。

「自分で作った空間に、自分の手と頭がある」という、VR開発の最初の感動を即座に体験できます。

 

メリット②:必須のVRインタラクションが実装済み

 

VRゲームに欠かせない、しかし実装が面倒な2大機能が最初から使えます。

  • テレポート移動: VR酔いを防ぐための最も標準的な移動方法です。コントローラーのスティックやボタンで、放物線を描いて移動先を指定し、瞬時に移動(ワープ)できます。これでVR酔いの心配なく空間を移動できます。

  • オブジェクトの掴み(Grab): 目の前にあるキューブなどのオブジェクトを、コントローラーのグリップボタンで掴んだり、離したり、投げたりできます。

 

メリット③:VRに最適化されたプロジェクト設定

 

VR開発では、常に高いフレームレート(通常90fpsや120fps)を維持することが至上命題です。フレームレートが落ちると、即座にVR酔いにつながるからです。 VRテンプレートは、パフォーマンスを優先するための基本的なレンダリング設定(例: Forward Shadingの使用、アンチエイリアス設定など)が最初から適用されています。

 

プロジェクト作成時の「オプション」はどう選ぶ?

VRテンプレートを選択すると、さらにいくつかのオプションを選ぶ画面になります。ここもVR開発では重要です。今後の冒険(開発)をスムーズにするために、正しく設定しましょう。

  • Target Platform (ターゲットプラットフォーム):

    • Desktop: PCに接続するVR(Rift S, VIVE, Indexなど)向け。

    • Mobile: Meta Quest 2/3/ProなどのスタンドアロンVRはこちらを選びます。迷ったら、あなたの主な開発対象(PC VRかQuestか)に合わせて選びましょう。

  • Quality Preset (品質プリセット):

    • Maximum (最大): 高品質なグラフィック設定。PC VR向け。

    • Scalable (スケーラブル): パフォーマンス優先。QuestなどのモバイルVR開発ではこちらが必須です。

  • Starter Content (スターターコンテンツ):

    • 基本的なマテリアル(材質)やメッシュ(形状)が含まれます。

    • 学習用やテスト用にあると便利なので、最初は**「含める(チェックを入れる)」**ことを推奨します。

  • Ray Tracing (レイトレーシング):

    • 美しい光の反射などを計算する機能ですが、非常に高負荷です。

    • VR開発ではパフォーマンスの維持が最優先されるため、**基本的に「オフ(チェックを外す)」**にします。

まとめ

 

今回は、UE5でVR開発を始める際に「VRテンプレート」を選ぶべき理由について解説しました。

遠回りや挫折を避け、あなたが本当に作りたい「VR体験」そのものに集中するために、新プロジェクト作成時は必ず「VRテンプレート」を選びましょう!

  • 結論: Blankは設定が過酷すぎ、First PersonはVR用ではなく激しいVR酔いを引き起こすため、選んではいけない。

  • 選定理由: VR Templateは、HMD・コントローラーのトラッキング、テレポート移動、オブジェクトの掴み、最適化設定など、VR開発に必要なもの全てを提供してくれる「初期装備セット」だから。

最初のプロジェクト作成は、VR開発という長い冒険のスタート地点です。正しい装備(VRテンプレート)を選ぶことは非常に重要ですが、同時にこのテンプレートが「何をしてくれているのか」を理解することも大切です。

次回は【UE5 VR開発 #05】最重要!「OpenXR」プラグインの有効化と設定。これをしないと始まらない!(予定。。。変更する可能性があります)

  • (学習内容: VR HMDとUEを繋ぐためのOpenXRプラグインの役割を学び、有効化する)

ABOUT ME
クリエッタ
プログラミングも3D制作も全くの未経験。 でも、「自分だけのVR空間を作れたら最高に楽しいだろうな…」 そんな漠然とした憧れだけで、Unreal Engineの世界に飛び込んでみました。 このブログは、そんな私が「次世代クリエイター」という大きな目標に向かって、日々試行錯誤する様子をありのままに記録する**『成長日誌』**です。 きっと、たくさんの失敗や遠回りをすると思います。 でも、その一つ一つが、同じようにこれからVR制作を始めたいと思っている誰かの役に立つかもしれない。そう信じて、学んだことを全てシェアしていきます。 一緒に学んで、一緒に感動できる仲間が見つかったら嬉しいです。 どうぞ、よろしくお願いします!
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